歯茎はなぜ下がる? 原因から再生治療法と今日からできる予防法


年齢とともに、歯茎がやせ、歯が伸びたように感じることはありませんか? これは歯茎が下がることによるものです。歯茎が下がると老けて見えるだけでなく、冷たいものがしみたり、歯周病の心配もあります。一度下がった歯茎は、もう上げることはできないのでしょうか? この記事では、歯茎が下がる原因や対処法をお伝えしましょう。

  1. 歯茎が下がる原因とは
  2. 歯茎が下がる、セルフチェック
  3. 下がった歯茎を治療する方法
  4. 歯茎を下がらないようにする予防法
  5. よくある質問

歯茎は歯を支える大切な組織です。健康に保って、若々しい口元を手に入れましょう。この記事をぜひ参考にしてください。

1.歯茎が下がる原因とは

歯茎はなぜ下がるのでしょう? まずは原因を見ていきましょう。

1-1.歯茎が下がった状態とは

歯茎が下がることを「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」といいます。これは、歯と歯肉(歯茎)の境目が、歯の根元の方へ移動した状態です。歯茎は歯を支える役割をしているため、歯茎がやせて下がると、歯を十分に支えきれなくなってしまいます。

1-2.どんな原因が考えられるか

では、なぜ歯茎が下がってしまうのか、詳しく見てみましょう。

1-2-1.歯磨きの仕方

最も多い原因が、歯ブラシの不適切な使い方といわれています。特にかたい歯ブラシを使って、強い力でゴシゴシ磨くのがよくありません。歯茎が傷ついてしまい、そのダメージか回復しないうちにまたゴシゴシとこすることを繰り返すうちに、歯茎は弾力を失い、やせていくのです。

1-2-2.歯周病

歯周病になると、歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える骨が溶けてしまいます。歯茎は歯槽骨を覆っているため、歯茎も一緒に下がってしまうのです。

1-2-3.歯並び

歯並びが悪い場合は、はみ出して生えた歯の歯茎が、正常な歯に比べて下がりやすい傾向にあります。

1-2-4.加齢

加齢により歯茎がやせることが知られています。年間に平均して0.25mmずつ下がるという報告もあるくらいです。これは自然現象なので、防ぎようがありません。しかし、個人差があることを覚えておきましょう。

1-3.放っておくとどうなるか

歯茎が下がった状態を放置すると、歯の根が露出して冷たいものがしみる「知覚過敏」になります。やがて熱いものもしみるようになり、痛みを感じるほどに悪化することもあるのです。また、歯を支える力が弱くなって歯がぐらついたりすることもあります。特に歯周病の進行は、歯を失うことにもなりかねません。気になり始めたら早めの対処が必要です。

2.歯茎の下がりをセルフチェック

自分の歯茎がどんな状態か、自分でチェックしてみましょう。

2-1.セルフチェック項目

  • 歯が長くなったように感じる
  • 前歯の間に隙間ができている
  • しゃべるとき歯の隙間から空気が抜ける
  • 冷たいものがしみるようになった
  • 食事のあと食べ物が歯の間に詰まってしまう
  • 固めの歯ブラシで強く磨くのが好き
  • 歯がぐらついてきた

2つ以上当てはまるようなら、歯肉退縮が始まっているかもしれません。チェックの数にかかわらず、気になるようなら歯科医に相談してみましょう。

2-1-1.注意点

歯茎が下がっても、虫歯のように強い痛みは出ないので放置しがちですが、セルフチェックで歯茎が下がっている可能性がある場合は、早めに歯科を受診しましょう。歯がぐらつくなど、症状が悪化してからでは、治療に費用も時間も多くかかってしまいます。

3.下がった歯茎を治療する方法

下がった歯茎を再び上げるには、どうしたらいいのでしょう? 治療の方法を詳しく見ていきましょう。

3-1.自然に治るか?

加齢により歯茎が下がることからわかるように、自然にしていたのでは歯茎を上げることはできません。現状維持ならまだしも、放っておくと進行する恐れがあります。

3-2.治療すべき状態とは

  • 歯の根元が露出している・しみる
  • 歯茎が下がった部分が腫れている・膿(うみ)が出ている
  • 歯茎の色が悪い(赤黒い・白っぽい)
  • 歯がぐらつく

以上のような症状がある場合は、歯茎の下がりだけでなく、ほかの歯の病気がかくれているかもしれません。速やかに歯科を受診してください。

3-3.治療方法について

下がってしまった歯茎を回復させるには、数か月から1年もの長い期間がかかり、外科的な処置やメンテナンスが必要です。主な治療方法をご紹介しましょう。

3-3-1.歯茎を移植する方法

歯茎が下がっている部位に、自分の口の中の健康な部位の歯茎を移植する方法です。上皮組織と結合組織の2層を移植するFGG(遊離歯肉移植)と、上皮組織・結合組織・骨膜の3層を移植するCTG結合組織移植があります。

  • メリット:自分の口の中の組織を使うので定着がいい
  • デメリット:組織の色の違いが出る場合や、移植後再び退縮する場合もある

3-3-2.歯槽骨を再生させる方法

GTR法(歯周組織再生誘導療法)といわれる方法で、歯周病専門歯科で受けられる治療法です。歯茎を切開して、歯周ポケットの中の歯垢(しこう)や歯石をきれいに除去して歯周組織を清潔な状態にします。歯槽骨が不足している部分を人工膜で覆い、組織の再生を待つという方法です。

  • メリット:骨から再生するので、定着がよければ歯茎もきれいに再生される
  • デメリット:骨の再生を行うので、治療期間が長い。骨の定着量が少ない場合もある

3-3-3.ヒアルロン酸を注射する方法

歯茎にヒアルロン酸を注入する治療法です。注射を3週間おきに3回繰り返すことで、徐々に歯茎が戻ってきます。

  • メリット:注射だけなので痛みが少ない。1回ごとの施術時間は短時間で終わる
  • デメリット:歯茎に炎症がある人には使用できない。1回の施術は短時間だが、歯茎が戻るのは数か月かかる場合もある

3-4.病院の選び方

歯科の治療は1回では終わらず、数か月以上にわたり複数回通う必要があります。技術力はもとより、相性のよい医師がいるところを選びましょう。ホームページなどをよく見て、治療方針や院長の人柄などを確認するのがおすすめです。チェックポイントは以下を参考にしてください。

  • ホームページの情報が充実している
  • 治療設備が整っている
  • 専門的な技術がある
  • 予約の時の対応がていねい
  • 予防に力を入れている

3-5.注意点

1回でいい歯科医に出会うのは難しいかもしれません。まずは歯のクリーニングなどで対応を確かめてみるなど、日頃から何でも相談できる「かかりつけ歯科医」をさがしておくといいでしょう。

4.歯茎が下がらないようにする予防法

歯茎は、日頃のお手入れで下がるのを予防することができます。その方法をご紹介しましょう。

4-1.おもな予防法

4-1-1.歯茎をいたわる歯みがき方法

かたい歯ブラシを使っている場合は、やわらかめのものに変えます。力のかかりすぎを防ぐため、鉛筆を持つようにペングリップで磨きましょう。歯みがき剤は研磨剤の入っていないものを使い、弱い力で小刻みに磨きます。歯間ブラシを無理やり入れるのもNGです。

4-1-2.歯周病を治す

歯周病により歯茎が下がっている場合は、まず歯周病を改善することが大切です。歯周病の治療には、歯周病菌の撃退が重要ですが、光殺菌治療(PDT)のように、レーザー光によって歯周病菌を殺菌する治療法もあります。自宅でのケアとしては、歯垢がきちんと取れるよう、歯と歯茎の境目をブラッシングしてください。歯ブラシで歯茎をマッサージするのは逆効果です。かえって歯茎がやせてしまうので気をつけましょう。

4-1-3.バランスのよい食生活

バランスよく規則正しい食生活が大切ですが、特に歯と歯茎によい栄養素を意識して取りましょう。タンパク質は歯茎をつくる材料です。乳製品・大豆・肉・魚などを積極的に食べましょう。マグネシウムは歯槽骨の構成材です。大豆・アーモンド・海藻などに多く含まれています。不足すると歯茎の血流が悪化するので、しっかり取るようにしてください。歯をつくるのに大切な、ビタミンC・A・Dとカルシウムも十分に取りましょう。

4-1-4.タバコを吸わない

歯茎によい食事をしても、タバコを吸っていたのでは台無しです。喫煙は歯茎の血流を悪くし、歯周組織に栄養分や酸素が届くのを阻害します。抵抗力も弱まり、歯周病のリスクも高まるのです。タバコはきっぱりやめて、歯茎に栄養が届くようにしましょう。

4-2.注意点

セルフケアには限界があります。歯科医院でブラッシングの指導を受けたり、定期的に歯垢や歯石除去をしてもらうなど、専門家のクリーニングを受けましょう。

5.よくある質問

Q:電動歯ブラシは使ってもいいですか?
A:電動歯ブラシ自体に問題はありませんが、ブラシのかたさと、歯に当てる圧力に気を付けてください。歯茎は磨かないようにしましょう。

Q:歯の磨きすぎが原因で下がった歯茎は、手術をしなくても治りますか?
A: 歯茎の再生は時間がかかりますが、専門家にブラッシングや生活改善の指導を受けて、数か月から1年程度気長に続けてみてください。1~2mm下がった程度なら、改善する可能性があります。

Q:歯周病のせいか、歯茎の下がりが気になってきました。治療したほうがいいでしょうか?
A:まずは歯周病を治すことが先決です。歯周病が改善することで歯茎の下がりも止まるでしょう。

Q:歯茎の再生手術は、健康保険がききますか?
A:歯茎の再生・移植などの手術は健康保険の適用外です。全額自己負担となるため、医師の説明をよく聞き、納得してから治療を始めてください。

Q:10代や20代でも歯茎は下がるのですか?
A:若くても、過度なダイエットによる栄養状態の悪化や喫煙、歯の磨きすぎなどにより、歯茎が下がることがあります。

まとめ

歯茎が下がる症状を放置すると、見た目が悪いだけでなく、知覚過敏や歯周病の進行で歯を失うことにもなりかねません。改善するには手術から自宅でのケアまで、様々な方法があります。専門家に相談の上、自分に合った方法を探しましょう。歯茎の再生には時間がかかるため、気長に根気よく治療に臨むことが大切になります。また、歯茎は何もしなくても加齢とともに下がってくるものです。なるべくいい状態を長く保てるように、正しい歯みがきや歯周病ケアの方法を身につけましょう。